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トリプルネガティブ乳がんとは?特徴から最新治療法まで徹底解説

乳がんと診断されたとき、「トリプルネガティブ」という言葉に不安を感じる方は少なくありません。トリプルネガティブ乳がんは、乳がん全体の約10〜15%を占める特殊なタイプです。しかし、女性であればどのようなものであるのか、治療法は確立されているのかなどが気になることでしょう。

この記事では、基本知識から最新治療法、日常生活との両立までわかりやすく解説します。

トリプルネガティブ乳がんとは?

トリプルネガティブ乳がんは、エストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PgR)、HER2タンパクという3つの因子がすべて陰性である乳がんです。後述しますが、一般的な乳がんとは異なり、3つの因子がすべて関係しているのが特徴です。

これらの因子が陰性であるため、ホルモン療法やHER2を標的とした治療が効果を示さず、化学療法が治療の中心となります。ただし、治療法が限定されるという点が、一般的な乳がんと異なるポイントでもあります。

他の乳がんとの違い

乳がんは主にホルモン受容体陽性乳がんとHER2陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がんの3つに分類されます。ホルモン受容体陽性乳がんは乳がん全体の約70%を占め、ホルモン療法が有効で比較的ゆっくりと進行するのが特徴です。HER2陽性乳がんには、トラスツズマブなどのHER2阻害薬が高い効果を発揮します。

一方、トリプルネガティブ乳がんは標的となる受容体やタンパクがないため、分子標的治療が使えません。進行が速く再発リスクも高いという特徴があり、早期発見と適切な治療が特に重要です。

発症しやすい人の特徴

トリプルネガティブ乳がんは、40歳未満の若い女性や閉経前の女性に多く見られる傾向があります。また、遺伝性乳がんとの関連も深く、BRCA1遺伝子に変異を持つ方は発症リスクが高いとされています。

実際、トリプルネガティブ乳がん患者の約10〜20%にBRCA遺伝子変異が認められています。家族歴がある方や若年で発症した方は、遺伝カウンセリングを受けることも検討しましょう。

トリプルネガティブ乳がんの診断方法

トリプルネガティブ乳がんの診断には、画像診断と病理検査を組み合わせた総合的な評価が必要です。マンモグラフィや超音波検査、MRI検査などの画像診断で乳がんが疑われた場合、針生検や組織生検によって細胞や組織を採取します。

採取した組織に対して免疫組織化学検査を行い、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体、HER2タンパクの発現状況を詳しく評価します。これら3つの因子すべてが陰性と判定されて、初めてトリプルネガティブ乳がんと確定診断されるのです。

診断後は、CT検査やPET-CT検査、骨シンチグラフィなどを用いて、がんの広がりやリンパ節転移、遠隔転移の有無を確認します。トリプルネガティブ乳がんは肺や肝臓、脳、骨などへ転移しやすい傾向があるため、ステージングの結果に基づいて適切な治療方針が決定されます。しっかりと検査を受けて、転移がないかなどを調べてもらいましょう。

トリプルネガティブ乳がんの治療法

トリプルネガティブ乳がんの治療は、手術と化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療が基本となります。それぞれの治療法の詳細とメリット・デメリットを見てみましょう。

手術と化学療法

手術には乳房温存術と乳房切除術があり、腫瘍の大きさや位置、患者の希望などを総合的に判断して選択されます。乳房温存術はがん細胞とその周囲の正常組織を部分的に切除する方法で、乳房の形を保つことが可能です。乳房切除術は乳房全体を切除する方法で、広範囲のがんや多発性のがんに適用されます。

化学療法はトリプルネガティブ乳がん治療の要です。アンスラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシンなど)とタキサン系(パクリタキセル、ドセタキセルなど)の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法が標準的に行われます。近年では、プラチナ製剤を追加することで治療効果が向上することも示されています。気になる方は主治医に相談してみましょう。

近年では、術前化学療法で腫瘍を小さくしてから手術を行う方法も広く採用されています。病理学的完全奏効(手術時にがん細胞が完全に消失した状態)を達成できれば、予後は非常に良好となるとされています。

放射線療法

放射線療法は、手術後の局所再発を予防する目的で行われます。乳房温存術を受けた場合は、残存乳房への照射が標準治療として推奨されるのが一般的です。

照射期間は通常5〜6週間ですが、最近では治療期間を短縮できる寡分割照射法の導入も進んでおり、3〜4週間で治療を完了できる場合もあります。がんの進行度によって異なるため、主治医に確認することをおすすめします。

トリプルネガティブ乳がんの最新の治療法

近年、トリプルネガティブ乳がんの治療は大きく進歩しており、新しい治療法や薬剤の開発により治療選択肢が広がってきました。具体的には、以下のような治療法です。

  • 免疫チェックポイント阻害薬
  • PARP阻害薬
  • 抗体薬物複合体

それぞれ詳しく解説します。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫療法は、トリプルネガティブ乳がん治療における大きなブレークスルーとなっています。ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は、PD-1阻害薬として知られる免疫チェックポイント阻害薬で、がん細胞が免疫システムから逃れるために使う「ブレーキ」を解除し、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする仕組みです。

この薬剤は、PD-L1陽性の進行・再発トリプルネガティブ乳がんに対して化学療法と併用することで承認されており、早期トリプルネガティブ乳がんに対する適応も拡大されています。一方で、免疫関連有害事象という特有の副作用がありますが、適切な管理により多くの場合コントロール可能です。

PARP阻害薬

PARP阻害薬は、DNA修復機構を標的とした新しいタイプの分子標的薬です。特にBRCA1/2遺伝子変異を持つトリプルネガティブ乳がん患者に、効果を示すことが明らかになっているのが特徴です。オラパリブ(リムパーザ)やタラゾパリブ(タルゼンナ)といったPARP阻害薬は、がん細胞のDNA修復能力を阻害することで、がん細胞を死滅させます。

これらの薬剤は、BRCA遺伝子変異陽性の進行・再発乳がんに対して承認されており、化学療法と比較して副作用が少ないという利点があります。主な副作用は貧血、吐き気、疲労感などですが、多くの場合は医師と患者による自己管理が可能です。

抗体薬物複合体

抗体薬物複合体(ADC)は、抗体と細胞傷害性の薬剤を結合させた新しいタイプの治療薬です。抗体が特異的にがん細胞を認識して結合し、薬剤を直接がん細胞内に届けることで、正常細胞へのダメージを最小限に抑えながら高い治療効果を発揮します。

サシツズマブ ゴビテカン(トロデルビー)は、トリプルネガティブ乳がんに対して承認されたADCで、Trop-2というタンパクを標的としています。進行・再発トリプルネガティブ乳がんに対して、既存の化学療法と比較して生存期間の延長が示されているのです。

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トリプルネガティブ乳がんの予後と生存率

トリプルネガティブ乳がんの予後は、診断時のステージに大きく依存します。早期に発見され適切な治療を受けた場合、予後は比較的良好です。ステージIの場合、5年生存率は約85〜90%と報告されています。ステージIIでは約70〜80%、ステージIIIでは約40〜60%と低下します。

トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんと比較して再発リスクが高いことが知られています。特に治療後2〜3年以内の再発が多く見られますが、この時期を無事に経過できれば、再発リスクは大きく低下します。再発の多くは遠隔転移として現れ、肺や肝臓、脳、骨などに転移しやすい傾向があり、経過観察が必要です。

ただし、術前化学療法で病理学的完全奏効を達成した患者の再発リスクは大幅に低下することが示されており、適切な治療により長期生存を達成している患者も多くいます。がんに罹患したからといって、悲観的になるのは時期尚早です。

遺伝性乳がんとの関連

トリプルネガティブ乳がんは、遺伝性乳がんと深い関わりがあることが知られています。BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子は、DNA損傷を修復する重要な役割を持つ遺伝子で、これらに変異があると乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高まるとされているのです。

BRCA1遺伝子変異を持つ女性が乳がんを発症した場合、その約70%がトリプルネガティブ乳がんであると報告されています。40歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された場合、家族に乳がんや卵巣がんの患者が複数いる場合は、BRCA遺伝子検査を検討する価値があるでしょう。陽性であることがわかれば、PARP阻害薬などの有効な治療選択肢が広がるという利点もあります。

日常生活との両立はできるのか?

トリプルネガティブ乳がんと診断されても、適切な治療とサポートを受けながら日常生活を送ることは十分に可能です。多くの患者が治療を受けながら仕事を続けることを希望しており、実際に適切な配慮とサポートがあれば両立できます。

まず重要なのは、職場に自身の病状や治療予定を正しく伝えることです。上司や人事担当者に診断と治療計画を説明し、必要な配慮について相談しましょう。通院のための休暇取得や勤務時間の調整、業務内容の見直しなどが検討できます。化学療法中は副作用の程度によって仕事の継続が難しい時期もあるかもしれませんが、治療スケジュールを考慮して対応することで乗り越えられるでしょう。

副作用への対処も重要です。吐き気に対しては制吐剤が効果的で、脱毛については頭皮冷却療法という新しい方法も導入されています。倦怠感に対しては、適度な運動や十分な休息、栄養バランスの取れた食事が回復を助けるでしょう。

心理的サポートも欠かせません。家族や友人に自分の気持ちを話すことは心の負担を軽減する助けになります。がん患者向けのサポートグループに参加することで、同じ経験をした人たちと思いを共有し、励まし合うこともできます。

まとめ

トリプルネガティブ乳がんは、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体、HER2タンパクがすべて陰性である特殊なタイプの乳がんです。治療の選択肢が限られ、進行が速く再発リスクも高いという特徴がありますが、化学療法を中心とした適切な治療により良好な予後を得ることは十分に可能です。

近年では、免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬、抗体薬物複合体など新しい治療法が登場しており、治療成績は着実に向上しています。特にBRCA遺伝子変異を持つ患者に対しては、PARP阻害薬という有効な治療選択肢があります。主治医とよく相談し、自分に最適な治療方針を決定することが重要です。定期的なフォローアップを継続し、希望を持って治療に臨むことで、充実した日常を送ることができます。

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