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スキルス胃がんとは?早期発見が難しい「サイレントキラー」の特徴と対策

スキルス胃がんは、胃がんの中でも発見が難しく進行が早いタイプです。「サイレントキラー」とも呼ばれ、診断時にはすでに進行していることも少なくありません。しかし、治療法も確立されているため、一概に悲観的になる必要はないでしょう。

本記事では、スキルス胃がんの特徴や原因、なりやすい人の特長を解説します。検査方法や治療法についても詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がんは、正式には「びまん性胃がん」または「硬性型胃がん」と呼ばれる胃がんの一種です。スキルス(scirrhous)とはギリシャ語で「硬い」を意味する言葉に由来しており、がん細胞が胃壁の中に広く浸潤し、胃壁全体が硬くなることが特徴です。

一般的な胃がんは胃の粘膜表面に腫瘤を形成しますが、スキルス胃がんは胃壁の中を這うように広がります。このため、内視鏡検査でも見つけにくく、発見された時点で既に進行がんとなっていることが多いのです。スキルス胃がんは、胃がん全体の約8〜10%を占めており、その予後の悪さから医療関係者の間でも警戒されています。

通常の胃がんとの違い

通常の胃がんとスキルス胃がんには、いくつかの重要な違いがあります。まず、発育様式が異なります。通常の胃がんは胃の内側に向かって盛り上がるように成長する「隆起型」が多いのに対し、スキルス胃がんは胃壁内部を這うように広がる「浸潤型」です。

組織型の違いも大きな特徴です。スキルス胃がんの多くは「低分化型腺がん」や「印環細胞がん」と呼ばれる組織型で、細胞同士の結合が弱く、バラバラに浸潤していきます。この特性が早期発見を困難にしている要因のひとつです。

進行速度も大きく異なり、通常の胃がんは比較的ゆっくりと進行しますが、スキルス胃がんは進行が非常に速く、数ヶ月で急速に悪化することもあります。進行すると胃壁が硬くなり、胃全体が縮んで伸びなくなる「革袋胃」と呼ばれる状態になります。

早期発見が難しい理由

スキルス胃がんが早期発見困難な理由は複数あります。最も大きな要因は、がん細胞が胃壁の深部で増殖するため、粘膜表面の変化が非常に軽微であることです。通常の内視鏡検査では、表面に明らかな腫瘍が見えないため、見逃されやすくなります。

また、初期症状がほとんど現れない、または現れても胃炎や消化不良と区別がつかない非特異的な症状しかないことも早期発見を妨げる要因です。患者自身が異常に気づきにくく、受診が遅れがちになります。

さらに、生検で組織を採取しても、表層部分だけではがん細胞が検出されないことがあります。深部まで十分な組織を採取する必要があり、検査する医師の経験や技術も診断精度に大きく影響するのです。

スキルス胃がんになりやすい人の特徴

スキルス胃がんになりやすい人には、次のような特徴があります。

  • ピロリ菌感染
  • 遺伝的要因
  • 年齢・性別・生活習慣

スキルス胃がんのリスク因子を知ることで、早期発見や予防につなげることができます。それぞれ詳しく解説します。

ピロリ菌感染

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染は、胃がん全般の最大のリスク因子であり、スキルス胃がんも例外ではありません。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長年にわたる感染が胃がん発症のリスクを高めます。

ただし、スキルス胃がんに関しては、ピロリ菌陰性の症例も報告されており、通常の胃がんほど明確な関連性が証明されていない面もあります。それでも、ピロリ菌の除菌は胃がん予防の基本として重要です。40歳以上で検査を受けたことがない方は、一度検査を受けることをおすすめします。

遺伝的要因

家族歴もスキルス胃がんの重要なリスク因子です。特に若年発症のスキルス胃がんでは、遺伝性びまん性胃がん(HDGC)と呼ばれる遺伝性疾患の可能性があります。

HDGCはCDH1遺伝子の変異が原因で、この遺伝子変異を持つ人は生涯でスキルス胃がんを発症するリスクが男性で70%、女性で56%と非常に高いことが知られています。近親者にスキルス胃がんの患者がいる場合、遺伝カウンセリングを受けるのがおすすめです。50歳未満でスキルス胃がんを発症した家族がいる方は、特に注意が必要です。

年齢・性別・生活習慣

スキルス胃がんは若年層にも発症することがあり、30代から50代の比較的若い世代での発症が目立ちます。これは通常の胃がんが高齢者に多いのと対照的な特徴です。

性別では、女性に多い傾向が見られます。特に40~50代の女性での発症率が高く、この年齢層の女性は注意が必要です。女性ホルモンや遺伝的要因が関与している可能性が指摘されています。

生活習慣では、塩分の多い食事や喫煙、過度の飲酒などがリスク因子として挙げられます。特に塩蔵食品や燻製食品の摂取が多い食生活は胃粘膜にダメージを与え、がん化のリスクを高めます。野菜や果物を積極的に摂り、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。

スキルス胃がんの症状

スキルス胃がんの最も厄介な点は、初期症状がほとんど見られないか、あっても非特異的で見逃されやすいことです。スキルス胃がんの初期症状と、進行した場合の症状をそれぞれ見てみましょう。

ただし、あくまでも一般的な症状であり、実際に出てくるものには個人差があります。それを踏まえたうえでご確認ください。

初期症状

初期段階では、軽い胃の不快感や食欲不振、胃もたれなど、ごく一般的な胃の症状しか現れません。多くの人がこれらを単なる胃炎や消化不良と考え、市販薬で様子を見てしまいがちです。

その他の初期症状としては、軽度の腹部膨満感、少量の食事ですぐに満腹になる早期満腹感、原因不明の体重減少などがあります。しかし、これらの症状も漠然としており、スキルス胃がんに特有のものではないため、気づきにくいのが現状です。何となく体調が優れないと感じても、忙しさや年齢のせいにして放置してしまうケースが少なくありません。

進行した場合の症状

がんが進行すると、より明確な症状が現れます。胃壁が硬くなり胃の容量が減少するため、食事量が極端に減り、少し食べただけで吐き気や嘔吐が起こるようになります。以前は普通に食べられていた量が摂取できなくなるという変化は、注意が必要なサインです。

腹水が貯まると、腹部全体が張って苦しくなります。腹膜播種(がん細胞が腹膜に広がること)が起こると、腹痛も伴うようになるのです。さらに進行すると、貧血による倦怠感やめまい、黒色便(タール便)などの症状が出ることもあります。リンパ節転移や遠隔転移が起こると、転移部位に応じたさまざまな症状が現れます。

初期症状よりも明らかな違いを感じるため、少しでも気になるようになったら病院を受診しましょう。

スキルス胃がんの検査方法

早期発見が難しいスキルス胃がんですが、適切な検査を受けることで見つかる可能性が高まります。代表的な検査方法は、次のとおりです。

  • 胃カメラ検査
  • バリウム検査
  • エコー・CT・MRI検査

どのような検査なのか、詳しく見てみましょう。

胃カメラ検査

内視鏡検査は胃がん診断の基本となる検査です。通常の胃がんでは非常に有効な検査ですが、スキルス胃がんの場合は粘膜表面の変化が軽微なため、見逃されることがあります。

しかし、経験豊富な内視鏡専門医であれば、粘膜のわずかな色調変化や伸展性の低下、ひだの肥厚や消失などの微細な所見から異常を察知できます。生検(組織を採取して顕微鏡で調べること)を複数箇所から、そして深部まで十分に行うことで、診断精度を高めることができます。症状が続く場合は、専門医による再検査を受けることも検討しましょう。

バリウム検査

バリウムを飲んで胃の形や動きを観察するX線検査も重要です。スキルス胃がんでは、胃壁の伸展性が失われ、胃が硬く縮んで「革袋胃」と呼ばれる特徴的な形態を示すことがあります。

また、胃のひだが肥厚したり、消失したりする所見も見られます。バリウム検査は胃全体の形態を把握できるため、びまん性に広がるスキルス胃がんの診断に有用です。健康診断でバリウム検査を受ける機会がある方は、積極的に受診することをおすすめします。

エコー・CT・MRI検査

腹部超音波検査(エコー検査)では、胃壁の肥厚を確認したり、リンパ節腫大や腹水の有無を調べたりします。スキルス胃がんでは胃壁が著しく肥厚することがあり、超音波検査でこれを捉えることができます。

CT検査やMRI検査は、がんの進行度(ステージ)を評価するために不可欠です。胃壁の肥厚の程度と周囲臓器への浸潤、リンパ節や遠隔転移の有無などを詳しく調べることができます。特に造影CT検査では、血流の変化を捉えることで、がんの広がりをより正確に把握でき、治療方針を決定する上で非常に重要な情報を提供することができます。

スキルス胃がんの治療方法

スキルス胃がんの治療は、がんの進行度や患者の全身状態に応じて選択されます。主に以下の3つが、治療法として選択されます。

  • 外科手術
  • 化学療法
  • 放射線治療

詳しく見てみましょう。

外科手術

早期に発見できた場合や、切除可能な範囲にがんが留まっている場合は、手術が第一選択となります。スキルス胃がんでは、がんの広がりを確実に切除するため、胃全摘術が行われることが多いです。

胃を全て摘出した場合、食道と小腸を直接つなぐ再建手術が行われます。術後は食事の摂取方法や栄養管理に配慮が必要になりますが、がんを完全に取り除くことができれば、治癒が期待できるでしょう。一方で、リンパ節転移が疑われる場合は、周囲のリンパ節も含めて広範囲に切除するリンパ節郭清が行われます。

化学療法

進行した段階で発見されることが多いスキルス胃がんでは、化学療法が中心的な治療となります。複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法が一般的です。

近年では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、新しいタイプの薬剤も使用されるようになっています。HER2陽性の胃がんに対しては、トラスツズマブという分子標的薬が有効性を示しています。また、術前化学療法(ネオアジュバント療法)として、手術前に抗がん剤を投与してがんを縮小させてから手術を行う方法も試みられています。

放射線治療

胃がんに対する放射線治療は、補助的な役割として用いられることがあります。特に痛みの緩和や出血のコントロールなど、症状を和らげる目的で使用されます。

化学療法と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法も、一部の症例で選択可能です。進行がんで根治が難しい場合は、症状を和らげ、生活の質(QOL)を維持することを目的とした緩和ケアが重要になります。

どのような治療をするのかは主治医の判断に委ねられます。詳しくは主治医に相談してください。

まとめ

スキルス胃がんは、発見が難しく進行が早い厄介ながんですが、適切な知識を持ち、定期的な検査を受けることで、早期発見の可能性を高めることができます。

特に、家族歴がある方やピロリ菌感染歴がある方、40代以上の女性は注意が必要です。リスクが高い方は、年1回程度の胃カメラ検査を受けることが推奨されます。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断で市販薬に頼らず、速やかに医療機関を受診することが大切です。

医療技術の進歩により、スキルス胃がんの治療成績も向上しつつあります。決して諦めず、信頼できる医療機関で適切な診断と治療を受けることが大切です。

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