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腹水がたまると余命はどのくらい?原因別の目安と治療法を詳しく解説

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「腹水がたまっている」と医師から告げられたとき、多くの方が余命について不安を感じるのではないでしょうか。腹水はがんや肝硬変など重篤な疾患に伴って現れることが多く、病状の進行を示すサインとして捉えられがちです。しかし、原因や病状の進行度によって予後は大きく異なります。

本記事では、腹水と余命の関係を原因別に解説し、治療法や生活の質を保つためのポイントを紹介します。

腹水とは

腹水とは、腹腔内に液体が異常にたまった状態を指します。腹腔は胃や腸、肝臓などの臓器を包む空間であり、通常は少量の腹腔液が存在して臓器同士の摩擦を防いでいます。健康な状態ではこの液体量は一定に保たれますが、何らかの原因でバランスが崩れると過剰に液体がたまり、腹水となるのです。

腹水自体は病気ではなく、がんや肝硬変、心不全などの疾患によって引き起こされる症状のひとつです。原因を特定して適切な治療を行うことが、腹水の改善につながります。

腹水がたまる主な原因

腹水を引き起こす原因はさまざまですが、特に多いのが「がん」と「肝硬変」によるものです。それぞれのメカニズムを理解しておきましょう。

がんの場合

がんが進行すると腹水がたまることがあり、「悪性腹水」と呼ばれます。主な原因として、がん細胞が腹膜に広がる「がん性腹膜炎」が挙げられます。腹膜にがんが転移すると血管の透過性が高まり、液体が漏れ出しやすくなるのです。

また、がんが肝臓に転移するとアルブミンの産生が低下し、血管内の水分保持力が弱まって腹水が発生します。リンパ管の圧迫や閉塞も原因となり得るのです。主に、卵巣がんや胃がん、大腸がん、膵臓がんなどで腹水を伴いやすい傾向があります。

肝硬変の場合

肝硬変は腹水の原因として最も多い疾患です。慢性的な肝障害により肝臓が線維化すると、門脈の血流が滞り、圧力が上昇します(門脈圧亢進症)。この圧力上昇により血管から水分が漏れ出し、腹水となります。

さらに、肝機能低下によるアルブミン産生の減少も重なり、血管内に水分を保つ力が弱まります。腎臓でのナトリウム排泄機能も低下するため、体内に水分が貯留しやすい状態となり、腹水が発生しやすくなるのです。

腹水がたまると現れる症状

腹水の症状はたまっている量によって異なります。少量であれば自覚症状がないこともありますが、量が増えるとさまざまな不快症状が現れます。主な症状は、以下のとおりです。

  • 腹部の膨満感
  • 食欲不振・消化器症状
  • 呼吸困難
  • 下肢のむくみ
  • 腹痛

それぞれ詳しく見てみましょう。

腹部の膨満感

最も代表的な症状がお腹の張りです。腹水が増えると腹部が外側に膨らみ、圧迫感や重苦しさを感じるようになります。大量にたまると、まるで妊娠しているかのようにお腹が大きく膨れ上がることもあり、日常生活に支障をきたすほどの不快感を伴うケースも少なくありません。衣服がきつくなったり、ベルトが締められなくなったりすることで気づく方もいます。

食欲不振・消化器症状

腹水がたまると胃や腸が圧迫され、消化機能が低下します。少量の食事でも満腹感を覚えたり、食欲そのものが減退したりすることが多くなるのです。

吐き気や嘔吐、胸やけといった症状が出ることもあり、栄養状態の悪化につながるケースも見られます。腸管が圧迫されて蠕動運動が妨げられるため、便秘を引き起こすことも珍しくありません。

呼吸困難

腹水が大量にたまると横隔膜が押し上げられ、肺が十分に広がれなくなります。息苦しさを感じたり、横になると呼吸がしづらくなったりする症状が現れ、睡眠にも影響が及ぶことがあるようです。

重症の場合は座った姿勢でないと呼吸が楽にならない「起座呼吸」の状態になることもあり、体力の消耗を招くため早めの対処が求められます。

下肢のむくみ

腹水を伴う患者では足のむくみ(浮腫)も高頻度で見られます。腹圧の上昇により下半身からの血液やリンパ液の戻りが悪くなり、足首やすねに水分がたまるためです。靴が履きにくくなったり、足が重だるく感じたりする症状として自覚されることが多いでしょう。朝起きたときは軽く、夕方になると悪化する傾向があります。

腹痛

腹水そのものが痛みを引き起こすことは少ないものの、急激に腹水がたまった場合や腹膜に炎症がある場合には腹痛を伴うことがあります。持続的な鈍痛から動くたびに感じる痛みまで、症状の程度はさまざまです。がん性腹膜炎を伴う場合は、より強い痛みを感じることもあり、痛みのコントロールが治療の重要な課題となります。

腹水がたまったときの余命の目安

腹水がたまると余命が気になるのは当然ですが、原因や病状によって予後は大きく異なります。一概に「何年」とは言い切れないのが実情です。がんの場合と肝硬変の場合の2つを見てみましょう。

がんの場合

がんによって腹水がたまった場合、病状はかなり進行していることが多く、予後は厳しい傾向にあります。一般的にがん性腹水が出現した患者の生存期間の中央値は数週間から数か月程度と報告されています。

ただし、がんの種類や治療への反応によって差があり、卵巣がんでは化学療法が奏効して比較的長期の生存が期待できるケースもあるのも事実です。「腹水=終末期」と決めつけず、主治医と現状を正確に把握することが大切です。

肝硬変の場合

肝硬変で腹水が出現した場合、平均余命は約2年といわれています。腹水は肝硬変が「非代償期」に移行したサインであり、予後に影響を与えるためです。代償期の5年生存率は約80〜90%ですが、非代償期に入ると50〜60%程度まで低下します。

ただし、アルコール性肝硬変では断酒の継続で改善が見込めますし、ウイルス性肝炎による肝硬変では抗ウイルス治療で進行を遅らせることが可能です。

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腹水の治療法

腹水の治療は原因疾患の治療と並行して、症状を緩和する対症療法が行われます。具体的には、以下のような方法があります。

  • 食事療法・水分制限
  • 利尿薬の投与
  • 腹腔穿刺ドレナージ
  • CART(腹水濾過濃縮再静注法)
  • 腹腔静脈シャント
  • 抗がん剤治療(がんの場合)
  • 断酒の継続(肝硬変の場合)

複数の方法を組み合わせてコントロールを目指しましょう。

食事療法・水分制限

腹水治療の基本として塩分と水分の制限があります。塩分を摂りすぎると体内に水分が貯留しやすくなるため、1日5〜7g程度に抑えることが推奨されています。水分も1日1〜1.5リットル程度に制限する場合がありますが、過度の制限は脱水を招くリスクがあるため医師の指示に従いましょう。

利尿薬の投与

体内の余分な水分を尿として排出させるために利尿薬が処方されます。スピロノラクトンやフロセミドがよく使用されますが、電解質バランスの乱れや腎機能への影響があるため、定期的な血液検査によるモニタリングが必要です。効果が不十分な場合は他の治療法と併用されます。

腹腔穿刺ドレナージ

腹腔穿刺ドレナージとは、腹壁に針を刺して直接腹水を抜く治療法です。大量の腹水による呼吸困難や腹部膨満感が強い場合に行われ、一度に数リットル排出することもあります。即効性がありますが腹水は再びたまることが多く、アルブミン製剤の補充が必要となる場合もあります。

CART(腹水濾過濃縮再静注法)

CART(腹水濾過濃縮再静注法)とは、抜いた腹水を濾過・濃縮して有用なたんぱく質を体内に戻す治療法です。アルブミンなどを回収できるため、単純に腹水を廃棄するより体への負担が軽減されます。がん性腹水の場合は濾過過程でがん細胞を除去できるメリットもありますが、専門的な設備が必要です。治療できる病院が限られるため、病院を探すのが困難な場合があります。

腹腔静脈シャント

腹腔静脈シャントとは、難治性の腹水に対して腹腔と静脈をチューブでつなぐ手術です。腹水を持続的に静脈に戻すことで貯留を防ぎます。デンバーシャントやルヴィーンシャントといった種類があり、効果を発揮する場合があります。

一方、感染症やシャント閉塞のリスクがあるため他の治療で効果がない場合の選択肢となるでしょう。主治医の判断によるため、しっかりと話をして決定してください。

抗がん剤治療(がんの場合)

がんが原因の腹水では、抗がん剤でがんを縮小させることで改善が期待できます。卵巣がんや乳がんなど化学療法への感受性が高いがんでは、腹水が軽減することも珍しくありません。腹腔内に直接抗がん剤を注入する「腹腔内化学療法」が行われることもあります。

抗がん剤のみの治療がされる場合もありますが、別の治療法を組み合わせる場合もある点を覚えておいてください。

断酒の継続(肝硬変の場合)

アルコール性肝硬変では、断酒が最も重要な治療です。飲酒を続けると肝機能がさらに悪化し、予後に悪影響を及ぼします。禁酒が難しい場合はアルコール依存症の専門治療を受けることも検討してください。

ウイルス性肝炎が原因の場合は、抗ウイルス薬による治療が行われます。肝硬変は原因によってその後の治療が大きく変わるため、主治医としっかりと相談しましょう。

余命を延ばし生活の質を保つために大切なこと

腹水がたまった状態でも、適切な対応によって余命を延ばし、生活の質を維持することは可能です。以下のポイントを意識して療養生活を送りましょう。

  • 早期の受診と定期的な通院
  • 栄養状態の維持
  • 原因疾患の治療への専念
  • 生活習慣の見直し

それぞれ詳しく見てみましょう。

早期の受診と定期的な通院

腹水の症状に気づいたらできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。原因を特定して早期に治療を開始すれば、病状の進行を遅らせられる可能性があります。

治療開始後も定期的な通院を続け、腹水や全身状態をモニタリングしましょう。症状の変化があれば速やかに主治医に相談し、治療方針を適宜見直していくことが大切です。

栄養状態の維持

腹水がたまると食欲不振になりがちですが、栄養状態の悪化は体力低下を招き、治療への耐性も下がってしまいます。少量ずつでも栄養価の高い食事を心がけ、必要に応じて栄養補助食品の活用も検討してください。

塩分制限は必要ですが、極端な制限は食事の楽しみを奪い、かえって食欲を低下させることがあります。管理栄養士のアドバイスを受けながら無理のない範囲で実践していきましょう。

原因疾患の治療への専念

腹水は症状のひとつであり、根本的な改善には原因疾患の治療が欠かせません。肝硬変であればアルコールを控え、処方された薬をきちんと服用することになります。がんであれば、主治医と相談しながら最適な治療を選択することが重要です。

セカンドオピニオンを求めることも選択肢のひとつです。他の専門医の意見を聞くことで、新たな治療の可能性が見つかることもあります。信頼できる医師を探して意見を求めてみてください。

生活習慣の見直し

十分な睡眠と適度な休息をとり、無理のない範囲で体を動かすことが体力維持に役立ちます。感染症にかかると症状が悪化することがあるため、手洗いやうがい、人混みを避けるといった予防策も心がけましょう。

精神的なストレスも体調に影響するため、家族や医療スタッフに気持ちを打ち明け、必要に応じて緩和ケアチームのサポートを受けることも有効です。

まとめ

腹水がたまると余命について不安を感じるのは自然なことですが、原因や病状によって予後は大きく異なります。がんによる腹水では数週間から数か月が目安とされる一方、治療が奏効すれば改善するケースもあるのです。

肝硬変による腹水では平均余命は約2年ですが、断酒や適切な治療で予後を改善できる可能性があります。食事療法や利尿薬、腹腔穿刺など複数の治療法を組み合わせることで症状をコントロールし、生活の質を保つことが可能です。

腹水は、何らかの病気のサインです。根本原因を探って治療を行うためにも、早期の受診を強くおすすめします。

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