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「肺がんステージ4」と診断されると、多くの方が大きな不安を感じるでしょう。ステージ4はがんが他の臓器に転移した状態を指しますが、近年の治療の進歩により、ステージ4でもがんと共存しながら生活を続けられるケースが増えてきました。
本記事では、肺がんステージ4の定義や症状、余命・生存率の最新データ、そして治療法の選択肢まで幅広く解説します。ご本人やご家族が今後の治療方針を考えるうえでの参考になれば幸いです。
肺がんのステージ(病期)は、がんの進行度合いを表す指標です。ステージ0からIVまで分類され、ステージ4(IV期)はもっとも進行した段階にあたります。肺がんのステージを示す表記と、ステージ4の状態について見てみましょう。
肺がんのステージは、国際的に用いられるTNM分類に基づいて判定されるのが一般的です。それぞれ、以下の内容を示す頭文字を組み合わせています。
この3要素を組み合わせて総合的なステージが決定されます。ステージ4に分類されるのは、がんが肺の原発巣から離れた臓器や組織に遠隔転移している場合であり、対側の肺や骨、脳、肝臓、副腎などへの転移やがん性胸水・がん性心嚢水が確認されたケースが該当します。
ステージ4はさらに「4a」と「4b」の2段階に細分類されています。
ステージ4aは、遠隔転移が胸腔内にとどまっている場合や、肺以外の臓器への転移が1カ所のみの状態です。対側肺内の転移結節や、がん性胸水・がん性心嚢水が認められるケースもステージ4aに含まれます。
一方のステージ4bは、肺以外の1つの臓器に複数の転移があるか、複数の臓器に転移が広がっている状態を指します。たとえば骨と脳の両方に転移が見つかった場合、ステージ4bに分類されることになるのです。
「ステージ4=末期がん」と認識されがちですが、両者は厳密には異なる概念です。ステージ4はあくまでがんの進行度(広がり方)を示す分類であり、患者さんの全身状態や治療の可能性を直接表すものではありません。
末期がんとは一般的に、有効な治療手段がなく余命が限られた状態を指す臨床的な概念です。ステージ4であっても全身状態が良好で治療に反応している方は決して末期がんには該当しないでしょう。実際に、ステージ4と診断された後も元気に日常生活を送り、仕事を続けている方はいらっしゃいます。
肺がんステージ4の症状は、原発巣によるものと転移先の臓器に起因するものとに大別できます。それぞれ具体的に見てみましょう。
肺がんの原発巣が引き起こす代表的な症状としては、持続する咳、血痰、息切れや呼吸困難、胸部の痛みやしめつけ感が挙げられます。風邪やアレルギーによる咳とは異なり、数週間以上にわたって続くケースが多い点が特徴的です。息切れや呼吸困難は、がんが気道を圧迫したり、がん性胸水がたまったりすることで生じます。
全身症状として体重減少や食欲不振、倦怠感が現れる場合もあります。また、がん細胞が放出するサイトカインなどの物質が全身に影響を及ぼすことで、「がん悪液質」と呼ばれる状態に至ることもあるでしょう。
ステージ4では遠隔転移を伴うため、転移先の臓器に応じた特有の症状が出現します。骨転移では安静時にも持続する鈍い痛みが特徴的で、病的骨折や脊髄圧迫による下肢のしびれが現れることもあるでしょう。
脳転移では頭痛やめまい、けいれん発作などの神経症状が見られます。肝臓への転移が進行すると腹部の張り感や黄疸が生じることがあり、がん性胸水では息切れや呼吸困難が悪化します。
肺がんステージ4と診断されても、自覚症状がほとんどない方が一定数います。健康診断や他の疾患の検査で偶然発見されるケースもあり、「まさか自分がステージ4の肺がんだったとは」と驚く方も少なくないでしょう。
無症状のケースは、転移巣が小さく臓器の機能に大きな影響を与えていない場合や、がんの増殖速度が比較的緩やかな場合に見られます。ただし、無症状であっても病状が進行する可能性はあるため、定期的な画像検査や血液検査による経過観察は欠かせません。
肺がんは組織型によって大きく「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に分けられ、それぞれ性質や治療法が異なります。ステージ4における予後や治療の選択肢もがんの種類によって変わってくるため、自分のがんの組織型を正しく理解しておくことが重要です。
非小細胞肺がんは肺がん全体の約85%を占めるもっとも一般的なタイプで、さらに肺腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに細分類されます。なかでも肺腺がんは肺がん全体の約60%を占め、肺の末梢(外側)に発生しやすく、非喫煙者や女性にも発生する点が特徴です。
EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子などのドライバー遺伝子変異が見つかることが多く、分子標的薬が有効な場合があります。扁平上皮がんは気管支の中枢側に発生しやすく喫煙との関連が強いタイプで、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できるケースもあるでしょう。
小細胞肺がんは肺がん全体の約15%を占め、喫煙との関連がきわめて強いタイプです。増殖速度が非常に速く、診断時にはすでに転移を起こしていることが多い一方、抗がん剤や放射線治療に対する感受性が高い(よく反応する)という特徴も持ちあわせています。
小細胞肺がんのステージ分類は「限局型」と「進展型」の2つに分けられることが多く、進展型は非小細胞肺がんのステージ4に相当します。初回の化学療法では高い奏効率(がんが縮小する割合)が得られるものの、再発しやすいという課題が残されているのが現状です。
肺がんステージ4の余命や生存率は、多くの患者さんやご家族がもっとも気になるテーマでしょう。ただし、統計データはあくまで「集団としての平均値」であり、個人の余命を正確に予測するものではない点をあらかじめご理解ください。
がん全体におけるステージ4の考え方については、以下の記事で解説しています。
【関連記事】がんのステージ4とは?症状・生存率・余命・治療法を徹底解説
国立がん研究センターが公表しているデータによると、肺がんステージIVの5年相対生存率は約8〜10%前後とされています(非小細胞肺がんの場合)。決して高い数値とはいえないものの、裏を返せば10人に1人程度の割合で5年以上生存しているということでもあります。なお、小細胞肺がんの進展型では3〜5%程度という報告があります。
肺がんステージ4の余命は年代によっても傾向が異なります。40代・50代では全身状態が良好なケースが多く積極的な治療に耐えうる体力を持つ方が少なくありません。
60代は罹患率が高まる年代ながら体力面では多くの治療に対応可能で、基礎疾患の管理が予後を左右します。70代以上では治療の負担と生活の質のバランスが重視され、免疫チェックポイント阻害薬や緩和ケア中心のアプローチが検討されることが多いでしょう。

肺がんステージ4では、がんを完全に取り除く「根治」を目指すことは多くの場合困難です。しかし、がんの増殖を抑えながら生活の質を維持する「コントロール」を目標とした治療が行われます。治療法を詳しく見てみましょう。
肺がんステージ4の治療の柱となるのが薬物療法で、大きく3種類に分類できます。細胞障害性抗がん剤はがん細胞の分裂を阻害する従来型の薬剤で、プラチナ製剤を軸とした併用療法が標準的に用いられています。
分子標的薬は、EGFR変異やALK融合遺伝子などの特定の遺伝子変異を狙い撃ちにする薬剤で、該当する患者さんの予後を劇的に改善しました。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫にかけているブレーキを解除し、免疫システムの本来の力を取り戻す薬剤です。
ステージ4の肺がんでは、全身に広がったがんに対する根治的な放射線治療は一般的ではありません。しかし、転移巣が限定的な場合(オリゴメタスタシス)や、症状緩和を目的とした放射線治療は重要な役割を担っています。
脳転移に対しては全脳照射や定位放射線照射(ガンマナイフ、サイバーナイフ)が行われることがあります。転移巣が少数かつ小さい場合には高い精度でピンポイントに照射することで、正常な脳組織へのダメージを最小限に抑えられるのが利点です。
骨転移による疼痛の緩和にも放射線治療はきわめて有効です。照射後の比較的短期間で痛みが軽減されることが多く、患者さんの生活の質の向上に直接つながります。
ステージ4の肺がんでは手術が行われることは少ないものの、例外的に検討されるケースも存在します。脳転移や副腎転移が単発で、原発巣と転移巣の両方を切除可能な場合には、手術が予後の改善に寄与する可能性があると報告されています。
ただし手術の適応は非常に限定的であり、患者さんの全身状態や手術リスクを総合的に評価したうえで慎重に判断されるものです。
緩和ケアは「治療をあきらめること」ではなく、がん治療と並行して行われる包括的なケアです。痛みや息苦しさ、倦怠感といった身体的な症状の緩和に加え、精神的・社会的な苦痛にも対処するアプローチとして、がんと診断された早期から導入することが推奨されています。
ステージ4の肺がんでは、抗がん剤治療と緩和ケアを併用した場合のほうが生存期間が延長したという研究結果も報告されています。早期からの導入が、治療効果の向上にもつながる可能性を示唆しているといえるでしょう。
「肺がんステージ4でも完治できるのか」という疑問は、多くの患者さんやご家族が抱く切実な問いでしょう。結論から述べると、完全な治癒は困難なケースが大半ですが、長期にわたってがんをコントロールし「治癒に近い状態」を維持できる方も出てきています。
ドライバー遺伝子変異に対応した分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が効果を発揮した場合には5年以上の長期生存が確認されるケースもあるのです。このことから、「がんとの共存」という考え方が広がりを見せています。
標準治療に加えて先進医療への関心を持つ患者さんも少なくないでしょう。先進医療とは厚生労働省が認可した医療機関で実施される保険診療と併用可能な最先端の治療技術で、肺がん領域では重粒子線治療や陽子線治療が一部施設で行われています。費用は全額自己負担となるため、がん保険の先進医療特約の確認や臨床試験(治験)への参加も選択肢として検討してみるとよいでしょう。
肺がんステージ4と診断されたとき、「標準治療以外にも選択肢はないのか」と模索する患者さんやご家族は少なくありません。近年注目を集めているのが「がん免疫療法」と「プレシジョンメディシン(精密医療)」の2つのアプローチです。
がん免疫療法は、患者さん自身が本来持っている免疫力を引き出してがんと闘う治療法です。免疫チェックポイント阻害薬に加え、樹状細胞ワクチン療法やNK細胞療法など、免疫の力を多角的に活用するアプローチが進化を遂げています。肺がんステージ4のように複数の臓器に転移がある場合でも、全身に作用するがん免疫療法は有効な選択肢となり得る点が大きな特徴でしょう。
プレシジョンメディシン(精密医療)とは、がんの遺伝子変異や分子特性を詳細に解析し、患者さん一人ひとりに最適化された治療法を選択する医療アプローチです。同じ「肺がんステージ4」でも遺伝子変異のパターンによって最適な薬剤はまったく異なるため、遺伝子パネル検査による事前の判定が、限られた体力と時間を有効に使ううえで重要な意味を持ちます。
肺がんステージ4は確かにがんが進行した段階ですが、がん免疫療法やプレシジョンメディシンの進歩により治療の選択肢は格段に広がっています。諦めずにさまざまな方法を検討してみましょう。銀座がん医療クリニックでは、がん免疫療法とプレシジョンメディシン(精密医療)を軸に、患者さん一人ひとりに最適な治療戦略をご提案しています。「もう治療の選択肢がない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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